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自治体サイドの偽らざる要望であろう。そして、財政面以外の要請には、第2に、自治省の指導は最小限にしてほしいこと、第3に、広域連合からの権限移譲要請にたいしては、パイロット自治体とは逢い、国も県も権限委任に応えてほしいといったことが、あげられている。これらはデメリットというより、広域連合ができてもメリット無ければ現状維持ということにつながりかねない。
第4に、広域連合の波及効果に注目する必要があろう。これは意識の上での明らかなメリットといえるのかもしれない、「広域連合を導入して結果的にいちばんよかったと思っているのは、8つの町村長に「大野郡は一つ」という認識が非常に強くなったということです。例えば、ある町では、今後これこれの施設を作りたいけれども、これも広域連合でやってもらいたいという話がでるようになりました。つまり、今後は、力をあわせてできれば広域連合でやろうではないか、そういう雰囲気が出てきた。広域連合を導入したからといって、すぐ住民サービスの向上につながるものでもありませんし、手間もひまもかかりますが、一連のプロセスを経て出来上がった共生意識の高まり、これがなによりもいちばんのメリット、よかったと思う点であります」10)。ただ、こうした広域圏に対するアイデンティティが住民間に醸成されているかどうかは、今後の調査にまちたい。
5.おわりに
広域連合は地方分権のモデルになるか、そして、大野広域連合は広域連合のモデルとなりうるかをみることにする。事務組合の1つのヴァリエーションという自治法上の位置づけとは別に、<広域政府>と<広域調整>のちょうど中間に位置するものとして<広域連合>を見てきた。
こうした観点から以上をまとめてみると、大野広域連合の設置は、一方では<地方分権の受け皿作り>という県知事の強力なイニシアティヴのもとに県当局が日程を絞って進め(担当者の尽力は敬意に値するが)、他方では地方分権の必要性をそれほど強くは意識していない地元自治体が文化ホールという新事業の設営に当たり自治体間の自主調整を発揮する間もなく説得された、という構図が浮かび上がる。しかも、県と地元自治体との指向性に大きな落差があることには驚かされるばかりであった。決定的に欠けているのは、地元住民と自治体が一体となって新制度作りに取り組んだ形跡がないことであろう。地方分権の手段が<立法権限の配分>であり、その目的が自己決定権であるとするならば、広域

 

 

 

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